数年前の事になりますが、結婚して大きめの賃貸に引っ越してキッチンが広くなりました。
引っ越し後もしばらくは一人暮らしの頃と同じ小さい食器棚を使っていましたが、
食器を増やせるように食器棚を新調する事にしました。
最初は「購入する」方針で大きな家具屋さんを見て回りました。
実物を見て「悪くないなー」と思える食器棚は、当時で15万~30万位の価格レンジでした。
そのクラスの食器棚には色んな便利機能が付いていました。
・扉がゆっくり閉まる
・炊飯器などの水蒸気を吸収する水滴対策
・地震などで扉がロックする安全機能
ただし、見た目はどれも似たり寄ったりでテカテカして無機質でした。
色んな食器棚を見ながら、
もう少し温かみがほしいし、マグネットを付けたりしたいし、作業台もほしいし、もう少し安ければ・・・
などと思っていら、結局自作することを決心しました。
当時の写真があまり残っていないのですが、
これから食器棚を作る方の参考になればと思い、手順をまとめてみました。
1. 設計
DIYはまず設計することが必要です。
使用状況をイメージし、細かい部分の仕様を決めておくと作った後に後悔しません。
大枠の決定
大きさでまず決める必要があるのは、横幅と高さと奥行だと思います。
棚の高さはDIYのメリットを生かし、自分の用途に合うよう設計しました。
横幅は、キッチンの横幅から冷蔵庫の横幅+α(隙間分)を引いた長さを目安として1,500mmしました。
高さは、冷蔵庫とほぼ同じ高さであり、かつ板材の規格になっている長さの1,820mmとしました。
奥行は、レンジが収まる事と、間取り上長くしすぎると冷蔵庫に対して飛び出てしまうため、400mmとしました。(家の間取りによっては450mm位が良いと思います。)
次に食器棚の棚の高さを決定しました。棚は全部で4段とします。
レンジを置く台(2段目の棚)の高さは、私と妻の平均身長からの目安(1,670÷2+50)+αで906mmとします。
2段目の棚の空間高さを480mm確保して、3段目の棚を設置します。
3段目の棚の高さを120mm確保して、4段目の棚を設置します。
4段目の棚の高さを260mm確保します。
板の厚みを18mmとすると、下記のような寸法で食器棚の高さは1,820mmとなります。
完成イメージ
細かい仕様を決めていきます。
先に完成イメージを紹介すると、こんな感じになります。
当時はCADを使えるようになりたいという気持ちがあったので、
練習も兼ねてSketch UPというフリーソフト(商用利用禁止)を使って書いてみました。
真ん中の段に、レンジと炊飯器を置く予定です。
磁石つきのキッチンペーパーホルダーを張り付ける予定です。
食器棚の右には冷蔵庫があります。高さは冷蔵庫とほぼ同じで、奥行は小さいです。
素材と色を決める
パイン材を茶色のウレタンニスで着色して、木目を残しながら落ち着いたイメージの色にします。
清潔性・利便性をアップさせる
レンジや炊飯器を置くスペースは、ステンレス板(SUS430)を張り付けます。
ステンレスは丈夫な素材なので汚れても安心して掃除できるし、水滴で腐食することもありません。
ステンレスの中でもSUS430はマグネット(磁石)がくっつくので、キッチンペーパーホルダーやその他の便利グッズを好きに配置することができます。
ゴミ箱を上手に収納する
邪魔なゴミ箱は、右下の枠内に収納します。
ゴミ箱を食器棚に収納することで、キッチンの作業スペースをより広くすることが出来ます。
作業スペースを拡張する
ゴミ箱スペースの上には、引出し式の作業台を設置します。(イメージ図には表示無し)
必要なときに作業スペースや物置として使用できるようなものです。
2. 材料調達
完成イメージが出来たので、次は木材の調達を行います。
購入する木材・ステンレス材
購入したのは、パイン材:5枚と、ステンレス材:2枚です。
当時の価格で約44,000円でした。
木とり図の作成
購入する材料の大きさが決まったら、それぞれの木材からどの部材を切り取るかを決めます。
実際には、購入材料をざっくりと決めてから、木とり図を作って無駄な材料(捨て材)が出ないか?をチェックして、購入材料を修正する作業を何度か行う必要があります。
今回の食器棚では、下の表のような関係で木とり図を作ることにしました。
※コンセプトイメージ図とは若干異なる設計にしたため、枚数等は異なります。
※ステンレス板は熱膨張を考え、必要な大きさより数ミリ分小さくカットします。
購入
結構な大きさと重量なので、パイン材とステンレス板ネット注文にしました。
amazonだとカットは難しいですが、楽天なら木取り図やカット図面があればカットしてもらえるので便利です。
特にステンレス板に関しては曲げないように注意しながら自分で運ぶのは困難だったので、曲がらないような梱包が施されて宅配されるネット注文は非常にありがたかったです。
※やはり、最新と当時の単価を比べると材料価格が上がっているようです。
3. 組立
注文していた材料が届いたので、完成に向けて塗装・組立てを行います。
完成までの工程について紹介します。
※ほほ完成状態が下の写真です。良い画像が無く、解像度が粗くてすみません。
塗装
塗料は水性ウレタンニスの茶色(オールナット)を使用しました。
油性よりも取扱いが楽&匂いがしないので、水性を選択しました。
① 塗装1回目
すべてのパイン材を塗装していきます。※希釈する必要はないのですが、2倍に希釈して塗装しました。
1回目の塗装後は、表面がざらざらに毛羽立ってしまうので、200番くらいのサンドペーパーでやすり掛けします。
② 塗装2回目
水で2倍に希釈した塗料で2回目の塗装を行った状況がこちらです。
その後は好みの色味になるまで、塗装&乾燥&やすりがけ(400番)を繰り返します。
③ 4回目の塗装後
この状態で、パイン材の木目と色味のバランスが好みの状態になりました。
組立
本棚を組み立てるように板同士を固定していきます。
下の写真は、左側の枠板に対して天板と3段目の棚を木ネジで固定した様子です。
3段目と2段目の棚の仕切板は、本棚作成の際の仕切板の固定方法を使っています。
組みあがりの途中の様子です。
後は、右側の枠板を固定して、底板を付ければ食器棚の形になります。
食器棚の裏面側に補強用(横揺れ対策)の板を取り付けている様子です。
補強用の板は、棚の奥側へ食器が落ちないようなストッパーの役割も持たせました。
大枠が完成した様子です。
ゴミ箱を仮置きしてみて設計通りの大きさになっている事を確認しました。
仕上げ
仕上げにステンレス板の張り付けと、作業台の取り付け、グロメットの取り付けを行います。
ステンレス板の張り付け
レンジや炊飯器の高温になる家電を置くため、
ステンレスと木材の固定には耐熱性の高いセメダインスーパーX2を用いました。
2段目の棚にステンレスの板を張り付けた様子です。
ステンレスのと木材の間に浮きが出ないよう、張り付ける面が下になるよう食器棚を回転させながらステンレスを張り付けていきました。(ステンレス板の自重で浮きを防止)
接着剤はたっぷりと塗ります。
背面の面は、張り付けではく裏側からビス止めしました。
ステンレス板の面と面の間に隙間が出来るので、耐熱のコーキング材で埋めてます。
作業台の貼り付け
作業台はスライドレールを使って取り付けます。
グロメットの取り付け
最後に、ステンレス板の裏面に電源コード類を通すための直径4cmくらいの穴をあけて、グロメット(コードを通すためのゴム)を付けます。
これは、ステンレスの断面でレンジのコード等が傷つく事を防止するためのものです。
下の写真の黒い部分がそのグロメットで、レンジのアース線を通している様子です。
補強のL字板金取付
横揺れに対してさらに強度を増すために、4隅の角と要所要所にL字板金を取り付けました。
上の写真やほかの写真でもで少し写っています。
完成
最後にキッチン用品を収納して完成です。
皿を立てて置くための棒は100均で買ったものを使用しました。
少しごちゃごちゃしていますが、大体思っていたようにできました。
詳細写真(後日撮影分)
作っている際に撮った写真が粗かったので、参考として詳細部分の写真を撮ってみました。
皆さんの設計の参考にしてください。
グラス・カップ置きの段
コーヒーカップや湯飲みに適したグラスにちょうど良い高さになっている。
※左上の角に補強のL字板金が見えています。
ステンレス張りの段
SUS430なので磁石がくっつきます。
キッチンペーパーホルダーや、IKEAの丸いステンレスケースなどは磁力で張り付いています。
また、収納性を上げるためにIKEAのレールも取り付けている。
IKEAのレールは天面にビス止めで固定しています。
ステンレスの継ぎ目のコーキング
ステンレスは熱膨張を考慮して、面と面の間に隙間できるようにしています。
隙間にゴミや水が入らないように、耐熱コーキング材でカバーしています。
作業台
ちょっとした作業をするときに引き出しせる作業台をつけています。
作業台の裏側から見た写真です。
ハーフェレのスライドレールで作業台をスライドさせています。
スライドレールと作業台の取り付けにはアルミの片長チャンネルを用仕様しました。
引出の拡大写真
棚の上部がデッドスペースになってしまったため、IKEAの網カゴを引出として取り付けました。
網カゴはアルミの方長チャンネルを用いてスライドさせます。
滑りが悪かったので、釣り用のグリスを塗ってみるとスムーズに動くようになりました。
最後に
以上、食器棚の作り方について紹介しました。
最初の設計とは若干形が変わったものの、ステンレスを活用して「清潔性・利便性」のある食器棚を作る事が出来たと思います。
この食器棚は一度引っ越しし、2018年10月現在も我が家で役に立ってくれています。
食器棚をDIYする事自体は振り返ってみると結構大変だったが、色んな工程を経験出来てとても楽しかったです。
ステンレスの板を木材に貼り付ける経験はなかなか出来ないですよね。
大変だったからこそ、自分の好みに合わせて作ったからこそ愛着も湧きます。
大事に使っていこうと思います。
これから食器棚を作ろうと思っている方は、大変かもしれませんがぜひトライしてみてください。
簡単なDIYとは違った楽しみが味わえると思いますよ。
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